簡易対訳表を作ってみる

WL_HowToAlign

原稿と訳文を比較して、訳抜けを検出する事を目的に、簡易的に対訳表を作成するおまけ機能を WildLight に盛り込んであります。但し、他ソフトウェアのように完璧なものではありません。あくまでもチェックして問題を検出する事を目的としているので、この程度のレベルでも目的十分と考えています。

  1. プルダウンメニューの「機能」→「2文書を比較表にする(β)」を選択する
  2. ファイル選択ウインドウが出たら、原稿ファイルを選択する。
  3. ファイル選択ウインドウが出たら、訳文ファイルを選択する。
  4. 機能が実行され、対訳表が作成されれば終了です。
  5. 表操作を使い、原文と訳文をアライメントします。

表作成後のアライメント作業は、メニューの「表操作」にセルの削除・挿入・結合機能があり、それを使う方法がありますが、毎回メニュー選択するのは作業効率が良くありません。そこで、これらの機能をショートカットキーに登録して作業する事をお勧めします。

方法は、ショートカットキー登録の方法のマニュアルを作ってありますので参照して下さい。

テンプレート辞書

指定した用語や単語だけに蛍光ペン付けをして、チェックし易くしたい…という目的から、WildLight を利用して頂いている方もいるようです。

その上で、辞書の作成で戸惑うのではないかと思い、テンプレート辞書を作成しました。
(クリックして表紙された状態で、Ctrl+S すると保存できます)

このテキストファイルに、どんどんとチェックしたい単語や用語を追加するだけで、WildLight の辞書として使用できます。

作った辞書ファイルをリネームして、分野別や文書種類別に辞書を作って使用するのがいいでしょう。

なぜ、ワードなのか?

翻訳の支援ツールは色々と出回っていますが、何故、WildLightはワードマクロを使って開発したのか? その理由は以下のようなものです。

  • Microsoft Word は、翻訳関係者ならまず間違いなくみんなが使っている
  • つまり、新たなソフトウェアを購入するなど、コスト的負担が無い
  • また、新たなソフトウェアの取り扱いを覚える必要が無い。
  • 法人の場合、新しいソフトウェアを導入する場合、社内申請・審査・承認等のプロセスを通す必要があり、予算的観点も含め、手軽に導入し辛い環境にある。しかし、既に導入済みのワードへのアドイン導入であれば、それらの煩雑な処理が最小限に抑えられる。
  • コスト的投資が無いので、翻訳者さんへ導入を勧め易い。
  • つまり、思い立ったら直ぐに使い始められる。

翻訳者さんに使って貰うには?…そこが発想の起点です。余計なものを買わなくても、手軽に導入ができる、そんなものを作りたかったのです。

WildLightの起動方法

WL_HowToExecute

問合せを頂いて調べてみれば、どうやってWildLightを起動するのかを書いたものがない事に、いまさらながら気が付きました。以下に起動方法を記します。

【WildLightの起動方法】

  1. 作業を行う文書を表示した状態で、メニューの「アドイン」をクリックする。
  2. 「WildLight」をクリックするとプルダウンメニューが表示される。
  3. プルダウンメニューにある「WildLight」をクリックする。
  4. すると辞書ファイルを指定するダイアログボックスが現れる。
  5. 適用したい辞書ファイルを指定しOKを押す。
  6. WildLightが辞書の記述に従い実行される。
    (上のデモは「数チェック」辞書を適用したところです。数に色付けがされ、原文と訳文で比較する事でチェックができます。)

 

単純なチェック辞書の作り方

WildLight で用語や単語を蛍光ペン付けしたい…という単純な使い方をする場合、辞書ファイルはとても簡単に作成できます。

テキストファイルを新規作成し、蛍光ペン付けしたい文字列を入れていけばいいのです。

<

p style=”padding-left:30px;”>例)
見れ
食べれ

(ら抜き言葉に蛍光ペンを付ける)

この使い方が一番単純でありながら、用途が多いのではないかと思います。ワイルドカードって何?って方でも、この方法でチェックしたい単語や用語をそのまま登録してしまえばいいのです。

WildLight の辞書の作り方がよく分からないという方は、この方法からスタートしてみましょう。

※Windowsであれば「メモ帳」を使えば作成できます。

英数字の全角・半角チェック

翻訳チェックの中で、スタイルガイドの指定に従って英数字の全角・半角チェックを行う事があります。また、翻訳文中で同じ文字種において全角と半角の不統一は好ましくありません。ここでは、英数字の半角・全角チェックをWildLightで行うための辞書の記述方法を説明します。

全角数字のチェック: [0-9]
全角英字のチェック: [a-zA-Z]
半角数字のチェック: [0-9]
半角英字のチェック: [a-zA-Z]

これらの文字列を、行いたいチェックに合わせて組合せ、WildLight用の辞書に記述すれば良いわけです。

例えば、半角英数字を検出して蛍光ペンをつける場合は、以下のように辞書に記述します。

[0-9]
[a-zA-Z]

これだけです。これだけを記述したテキストファイルを準備して WildLight に読み込ませると半角英数字に蛍光ペンが付きます。

ワイルドカードに詳しい方は、 [0-9a-zA-Z] と一文に書き直して頂いても構いません。

WildLightの良いところは、辞書に記述されたワイルドカードを順次に処理してくれるところです。ワードの検索や置換機能を使って一発で処理しようと、ワイルドカードの記述に頭を悩ますくらいなら、やりたい事を分割してワイルドカードで表現し、WildLightの辞書にして実行すれば、簡単に処理ができます。

マクロは忘れて下さい

一昨日のサンフレアアカデミーのオープンスクールで、遠田先生がWildLightをご紹介下さった事は別ブログで報告しましたが、その後に何人かと話をさせて頂いて分かった事があります。

それは、以下のような事です。
1)WildLightはマクロを知らないと使えないと思っていた。
2)ブログの印象から有料マクロだと思っていた。

このあたりを含め、もっと説明をしていかないといけないなと思いました。

まず、必要となるマクロに類する知識は、WildLightのイントール方法だけです。あとはメニューからWildLightを選択して、自分の目的の辞書ファイルを読み込ませるだけで利用できます。セミナーや説明の中で「インストールしたらマクロは忘れて下さい」とお話ししているのは、そう言う理由です。

それに、もし辞書を自作される方で、WildLightの特殊コマンドを使用されない場合は、現バージョンさえインストールできてしまえばアップデートも必要ありません。(基本機能で不具合修正が発生しない限り)

WildLightの基本的使用法は「ファミコン」を目指しています。つまり、本体(WildLight)へカートリッジ(辞書ファイル)をポン!と入れさえすれば使える環境です。(カートリッジを作ってくれる人が増えると嬉しい)

また、WildLightはフリーウェアです。翻訳品の凡ミス撲滅を祈って、未来永劫有料にするつもりはありません。

赤文字のみ文字カウントする

クライアントからの翻訳指示で、部分翻訳の場合、様々な方法で翻訳対象を指示してきます。フォント色を変える事もその手段のひとつで、「赤字だけを翻訳して下さい」といった指示がされます。

そんな時、見積もりを出すための文字カウントが必要になりますが、普通なら、対象外箇所を削除してカウントするなどの手間を掛けざるを得ません。

WildLightの場合、「CountFontColor」コマンドを使えば、特定色の文字だけの文字カウントができます。赤字だけをカウントする場合、以下の1文を記述した辞書を準備することで、赤字部の文字カウントが行えます。

CountFontColor:Red

この辞書を実行すると、赤文字部の文字カウント情報を出力した新規文書が作成されます。

出力例

【Red色文字のカウント】
単語数:37
文字数(スペースを含めない):82
文字数(スペースを含める):92
全角文字+半角カタカナの数:24

[注]図形やテキストボックス内はカウントされません。

青文字をカウントしたければ、「Blue」を指定すればいい事になります。

蛍光ペン部の文字カウントをする

クライアントからの翻訳指示で、部分翻訳の場合、様々な方法で翻訳対象を指示してきます。蛍光ペンもその手段のひとつで、「蛍光ペンの付いているところだけを翻訳して下さい」といった指示がされます。

そんな時、見積もりを出すための文字カウントが必要になりますが、普通なら、対象外箇所を削除してカウントするなどの手間を掛けざるを得ません。

WildLightの場合、以下の1文を記述した辞書を準備することで、蛍光部の文字カウントが行えます。

CountH

この辞書を実行すると、蛍光ペン部の文字カウント情報を出力した新規文書が作成されます。

出力例

【蛍光ペン部のカウント】
単語数:36
文字数(スペースを含めない):75
文字数(スペースを含める):85
全角文字+半角カタカナの数:24

[注]図形やテキストボックス内はカウントされません。

日本語原稿から簡易的に用語を抜く

昨年11月12日に行った翻訳勉強会「十人十色」のワイルドカードセミナーでちょっとお見せした「用語抜き」ですが、1月11日のWildLightセミナーで紹介したら、同様に関心を示して頂けましたので、その考え方をブログ記事にしておきます。

用語集は、顧客が使用する単語を正しく訳文へ適用し、文書内での揺れを無くす上で不可欠な物です。しかし、用語集を作成し管理している顧客や、それを提供してくれる顧客は非常に限られているのが現状です。

ここで説明する方法は、完璧ではないにしろ、翻訳品質管理上、用語集にして翻訳者へ事前提供した方が良い「用語の候補」を、日本語原稿から自動で抜き出す事を目的としています。

では、どうやって用語と思われるものを判断させるか?

実際に日本語原稿を眺め、用語として抜き出した方がいいものを探してみて欲しいのですが、そこから何と無く見えてくるものがあります。

それは…
用語となるものの多くは「漢字とカタカナの塊」であると言う事です。

つまり、漢字とカタカナの塊を抜き出してやると、用語集に必要な用語と思わしきものが抜き出せる事になります。

まず、「漢字とカタカナの塊」を検索して蛍光ペン付けする方法を考えてみましょう。それぞれを検索するワイルドカード文字列は以下の通りです。

漢字は、[一-鶴]
全角カタカナは、[ァ-ヾ]

これを1行で表すと、[ァ-ヾ一-鶴]となります。これをWildLight用辞書に記述する事で、漢字とカタカナの塊に蛍光ペンが付くことになります。あとは、蛍光ペンが付いたところをワードやエクセルへ抜き出してやれば良いわけですが、そのための特殊コマンドが以下のものです。

ExtractH2Word : 蛍光ペン部をワードへ抜く
ExtractH2Excel : 蛍光ペン部をエクセルへ抜く

エクセルへ抜く場合の記述例)

[ァ-ヾ一-鶴]
ExtractH2Excel

ExtractH2WordとExtractH2Excelでは、ユニークな文字列(用語と思わしきもの)だけが抽出され、文字数の大きい順に出力されます。(重複したものは削除される)
また、エクセルへの出力の場合、文書内での登場頻度の情報も付加して出力されます。

抜き出された用語らしきものは、当然、ひとつづつ精査して、本当に必要なものだけを用語として残す作業が必要です。

そもそも、この作業は完璧を全く求めていません。30%の完成度でも無いよりマシである…というところが発想の原点になっています。この考え方はツールを使う上でとても大切だと私は考えています。

TIPS:他の方法
例えば、文書名や文献、規程、規約、法律などの固有名詞は、良く括弧付きで記載されている場合が多いです。つまり、「」『』で括られた文字列は、用語集に必要な用語である場合が多いです。

同様にワイルドカードで記述して蛍光ペン付けを行えば、用語として抜く事ができます。
ちょっと雑ですが、

[『]{1}(*)[』]{1}(tab)¥1
[「]{1}(*)[」]{1}(tab)¥1
ExtractH2Excel

こんな感じになるでしょうか?

これらの処理を行う辞書は、WildLight Library に登録されていますので、ご活用下さい。

WLDIC_抽出和文から用語集候補をWordへ抜く.txt
WLDIC
抽出_和文から用語集候補をExcelへ抜く.txt

抜き出す対象を色々変えて、自分の意図に合う辞書に作り変えてみて下さい。