以前、サンフレアアカデミーのオープンスクールでWildLightの説明をした際に、「蛍光ペンのついた文字列をワードやエクセルへ抜き出せるか?」という質問をいただき、「SFAオープンスクールの質問から」という記事にまとめていますが、改めて別記事として公開しておきます。
ワード文書中の蛍光ペンがついたテキストを抽出できると、ちょっと便利な使い方ができますよね。
例えば、用語集用に必要な単語や表現に蛍光ペンを付けておき、最後にそれらを抽出して用語集にするといった使い方ができます。事実、サンフレアアカデミーのオープンスクールでいただいた質問の目的は、用語集作成に使用したいということでした。
まず、特別な知識なく実現できるように、辞書ファイルを準備してあります。
エクセルへ抜きたい時は1の辞書、ワードへ抜き出したい時は2の辞書を使います。目的に合わせて辞書ファイルをダウンロードし、WildLightで適用してみてください。用語集作成を目的としているなら、いきなりエクセルへテキストを抜いてしまうと便利かもしれませんね。
では、実際にやってみた映像をこちらに張り付けておきます。(これは「WLDIC_抽出_蛍光ペン部をExcelへ抜く.txt」を適用したケースです。)
うっかり同じ単語を蛍光ペンしていても大丈夫です。ユニークなものだけを抽出する仕様になっています。(「あれ?これ、さっき色付けたっけ?」なんて、悩まなくて大丈夫。気にしないでどんどん蛍光ペン付けしちゃいましょう)
さて、ここからは中級者/上級者の方への説明です。
蛍光ペンのテキストを抜き出す機能は、以下のWildLightの特殊コマンドで実現できます。
- ExtractH2Excel
- ExtractH2Word
前者がエクセルへ抽出、後者がワードへ抽出するための特殊コマンドです。ワイルドカードとの組み合わせで、意図した文字列を抜き出すことができるようになります。例えば、全角カタカナの用語だけを抜き出したい場合は、以下のような記述をした辞書を準備すると良いでしょう。
- WILDCARD:ON
- [ァ-ヾ]
- ExtractH2Excel
1行目は、ワイルドカードモードをONにします。そして2行目に全角カタカナを指定するワイルドカードを記述することで、全角カタカナすべてに蛍光ペンを付けます。そして最後に、それら蛍光ペンが付いた文字列をエクセルへ抽出するために、特殊コマンド ExtractH2Excel を記述します。
2行目のワイルドカードを工夫することで、いろいろな文字列を抜き出すことが可能になります。
例えば、上記ケースでは1文字のカタカナも抽出されます。それでは都合が悪いなぁ、せめて3文字以上のカタカナだけにして欲しいなぁと考えるなら、2行目を以下の記述にすればOKです。
[ァ-ヾ]{3,}
また、もし、5文字の全角カタカナの用語だけを抽出したい!という場合は、以下のようになります。
[ァ-ヾ]{5}
ここまで読まれた方は、ExtractH2Excel, ExtractH2Word がいろいろなことに応用できそうだと感じたことでしょう。実際、WildLight Dictionary Library に登録してある「WLDIC_抽出_和文から用語集候補をExcelへ抜く.txt」では、この特殊コマンドを使って、和文から用語集候補となる単語をエクセルへ抽出しています。
上記の2行目に当たる部分に、以下の記述をしています。
- [『](*)[』](TAB)\1
- [「](*)[」](TAB)\1
- [a-zA-Za-zA-Z0-90-9]{1,}[ァ-ヾ一-鶴]{1,}
- [ァ-ヾ一-鶴]{1,}[a-zA-Za-zA-Z0-90-9]{1,}
- [ァ-ヾ一-鶴]{1,}
まず、用語集に必要となる用語には、定訳が存在しそうなものを対象としたいですが、『』や「」内の文字列にはその対象となるものが多いので、『』「」内の文字列を抜くように蛍光ペン付けをしてやります。ただ、そのまま抜いてしまうと『』「」が残ってしまいますので、蛍光ペンを付けつつ、それらの括弧を削除してしまいます。そのための記述が1~2行目です。((TAB)はタブ記号です)
3行目は、全半角の英数字で始まり、全角カタカナと漢字でなる言葉の塊に蛍光ペンを付けます。といってもイメージできないですよね。例えば、「13G45カード基板」とか「1次入力ターミナル」といった類の文字列に蛍光ペンが付きます。
4行目は、全角カタカナと漢字の後ろに全半角の英数字が付いている文字の塊に蛍光ペンを付けます。例えば「プライマリー電源001」とか「角度ABC」といった類の文字列に蛍光ペンが付きます。
そして最後の5行目は、全角カタカナと漢字の塊に蛍光ペンが付きます。「音量スライダー」とか「スライド軸」といった言葉が対象となります。
なぜ、3段階で蛍光ペン付けをしているかといえば、[全角カタカナと漢字]の塊に先に蛍光ペンを付けてしまうと、[全角カタカナと漢字]の前後に全半角英数文字を持つ文字列の検索手段を失ってしまうからです。(蛍光ペンがついているものは検索対象から外れるというWildLightの制限があるため)
少し複雑な検索をして蛍光ペンを付ける場合は、このように、その順番にも注意が必要です。
(このあたりの話は、以前の記事「日本語原稿から簡易的に用語を抜く」にも書いてあります。)
他にもいろいろな応用ができそうですね。
是非、お役立てください。